労働者共産党 第7期第2回中央委員会総会決議(2018年11月)
 決議・安倍長期政権をどのように終らせるか

 9・30沖縄県知事選挙での玉城デニー大勝利によって、安倍政権終焉への転換点が勝ちとられた。しかし、おもに「本土」での労働者人民の闘いの弱さによって、安倍政権は辺野古新基地建設を断念せず、また9条改憲・軍拡・新自由主義などの政策を依然続けることができている。安倍政権を長期に倒せないでいるのは何故か、しかし内外情勢の発展は安倍政権をどう行き詰まらせているのか、これらを確認しつつ、向こう1年余の党の方針を決定しなければならない。

一、 長期政権化を許している諸要因

 安倍政権は、2期6年の任期を終え、9月、自民党総裁選で石破茂候補を抑えて、第3期目に突入した。
 安倍政権は、これまでに戦争法、共謀罪、働き方改革、カジノ法等を強行採決し、森友・加計疑惑では、文書の改竄、事実の隠蔽、捏造を繰り返した。3月、安倍首相・麻生財務相が公文書「書き換え」を認め、政権は崩壊の危機に直面した。それでも政権は、打倒されることなく長期政権を維持している。
 安倍長期政権は、衆参で与党が3分の2の圧倒的多数の議席を占め、小選挙区での党公認や閣僚ポストをめぐって、自民党内の反対意見を封じ込め、派閥を牽制することで維持されている。
 しかし、安倍長期政権を可能にした最大の要因は、大衆闘争の弱さにある。公文書改ざん発覚後の4月世論調査(朝日新聞)で、安倍政権不支持は52%となり、支持率は31%へ急落した。しかし、6月米朝首脳会談、9月沖縄知事選などを経ても、これ以上に支持率が落ちることはなく、今夏以降は支持・不支持が4割程度で拮抗する状態が続いている。
しかし安倍政権への固定的支持層はせいぜい3割であり、安倍首相の強権的政治姿勢や9条改憲の野心には、保守層・自公支持者の中にも反発が高まりつつある。そして、9月総裁選での世論調査でも、誰が次期首相にふさわしいかの問い掛けに安倍首相36・3%、石破元幹事長31・3%の結果が出た。自民党内においても総裁選では、党員票で45%を石破に取られた。安倍政権は盤石ではなく、しかも、安倍首相の信頼度は高くない。
 改憲阻止、働き方改革反対、カジノ法成立阻止、森・加計疑惑追及の闘いは、国会前や全国各地で闘われている。しかし、2015年安保法制闘争での8・30国会12万人包囲をピークに動員数は減少している。それに匹敵する労働者民衆の大闘争によってしか、安倍政権を退陣に追い込むことはできない。腐敗しきった安倍政権の延命を許しているのは、大衆闘争の弱さである。
 大企業は、米国等の景気拡大、円安、公的資金66兆5000億円の投入、金融緩和によってあふれた投機マネーによる株価高騰で莫大な利益を獲得してきた。企業の収益拡大を背景に安倍政権は官製春闘を実行、18年では2・3%の賃上げが行われた。また、最低賃金も3年連続で引き上げ率3%を確保、3年前より全国加重平均で80円上昇した。さらに、有効求人倍率は、2020年東京オリンピック開催などを要因にして上昇している。
 これらが、非正規・正規労働者に一定程度の影響を与えている。
 安倍政権の6年間で最優先させるとしてきた「経済再生」によって、大企業や富裕層は潤い、一方で、労働者市民の所得は増えず、貧困と格差が拡大している。名目賃金は上昇した。しかし、実質賃金は、安倍政権の5年余り(2012・12月~18・5月)で年75000円も下落している。そして、最賃は時給1000円にも達していない。それでも、非正規・正規労働者の取り込みをねらった安倍政権の目論みは、一定、成功している。それが、大衆闘争の停滞に大きく影響している。
 内閣府が8月24日付けで発表した「国民生活に関する世論調査」では、総裁選での安倍政権の後押しをねらった水増しがあるにせよ、現在の生活に「満足」「まあ満足」が74・7%を占めた。そして、所得・収入面で「満足」「まあ満足」と答えたのは51・5%、悩みや不安を感じている人の半分以上が老後の生活など福祉面との報告がなされている。そのためか、貧困と格差が拡大し続けているが、一方で安倍政権の暴走が続いている。労働者民衆の意識は、憲法改悪、森・加計疑惑など個々の問題に不満があるにせよ、安倍政権打倒の大闘争に駆り立てるまでには至っていない。
 これら内政問題では、安倍政権支持率は引き下げられたが、外交問題では朝鮮外交の孤立化などの失政にもかかわらず、コアな保守層を中心に安倍支持層は崩れていない。安倍政権が鼓吹してきた反動的ナショナリズムの効果が、いぜん続いている。そして、リベラル層を含めた日米同盟基軸派がいぜん多数派であることが、安倍政権の延命を助けている。
 以上のように、安倍政権の長期化を許している諸要因は、①両院多数・小選挙区制など制度的要因、②大衆闘争の弱さ、③経済情勢の「幸運」(2008年世界恐慌後の景気回復過程、2011年東日本大震災後の復興需要、東アジア中間層の需要など)、④反動的ナショナリズム、これらが上げられるが、最大の要因は②と総括されねばならない。
 しかし、安倍政権は後がない3期目に入り、ポスト安倍へ政局は動揺していく。ブルジョア政局で安倍を終らせるのではなく、労働者人民の闘争で安倍を終らせること、これが我々の課題である。

 二、安倍政治の継続を困難にする朝鮮半島の大変動

 6月12日、米朝首脳会談が開催され「新しい米朝関係の構築」「朝鮮半島の平和体制の構築」「板門店宣言を再確認し、朝鮮半島の非核化に向けて努力する」「戦争捕虜・行方不明者の遺骨回収」の4項目で合意した。この米朝首脳会談の実現は、南北が牽引する朝鮮半島と東アジアの平和体制構築の第一歩となった。会談後、朝鮮が遺骨の返還、一部核実験場の破壊を行い、米国は、8月の米韓合同軍事演習「巳支フリーダムガーディアン」を中止、向こう3ヵ月間の米韓合同演習の中止を発表した。行動対行動で段階的に平和体制の構築に向かう動きがつくられている。
 米朝首脳会談は、南北首脳会談によって道筋がつけられた。
 朝鮮は、1月1日の金正恩新年の辞で、核武力を完成させたとし、経済建設への集中、南北共同による朝鮮半島の軍事的緊張緩和・平和的環境の実現を呼びかけ、また4月20日の朝鮮労働党3中総で、その路線を決定した。一方、キャンドル革命を背景に誕生した文在寅政権は、朝鮮半島で戦争はさせないとの強い意志を表明し続け、2018年新年から戦争阻止・平和協定締結にむけた南北合作の闘いが開始された。
 4月27日、南北首脳会談が板門店で開催され、板門店宣言が公表された。
 宣言は、「南北関係の全面的改善・共同繁栄と自主統一」、「(南北間の)軍事緊張の緩和・戦争の危険の解消」、「南北の恒久的平和体制の構築・朝鮮半島非核化の実現」を確認した。そして、「今年、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換して恒久的で強固な平和体制構築のための3者、または、4者会談の推進」で合意した。
 9月19日、文大統領が訪北して、金国務委員長との「9月平壌共同宣言」が発表され、同時に「板門店宣言履行のための軍事分野合意書」が結ばれた。軍事分野合意書は、今年11月1日から軍事境界線一帯での軍事演習を中止する等を合意するもので、在韓米軍を制約するものとなっている。
これらの平和攻勢によって終戦を宣言し、平和協定が締結されれば、韓国、日本・沖縄に国連軍基地が存在する理由はない。米海兵隊も直ちに撤退すべきである。さらに、平和協定の交渉にともなって在韓米軍の削減、あるいは韓米防衛費分担金再交渉が失敗した場合には、米軍28500名全員の撤収さえありうる。
 朝鮮半島と東アジアの平和の流れが始まった。平和体制の構築は、アジアにおける旧来の冷戦構造を終焉させ、日米安保条約の存在さえ問うことになる。
 トランプ政権は、中国・ロシアをアメリカの世界覇権を脅かす「競合国」と規定し、中・ロ対峙の軍事戦略を掲げている。安倍政権は、米国の戦略に貢献する仕方で覇権国家としての台頭を目論み、日米安保を維持し、アジアの前線基地として米軍の統制下で、本格的な海外軍事行動を展開する自衛隊をめざしている。
 防衛・外務両省は、特殊部隊輸送を任務とするCV22オスプレイ5機の10月1日米軍横田基地正式配備を発表、2024年までに10機態勢にすることを明らかにした。また自衛隊のオスプレイ導入としては、佐賀県知事は、防衛相との間で陸自オスプレイの佐賀空港配備受け入れに合意。防衛省は、2018年度から21年度までに17機の佐賀空港配備をねらっているが、地権者を含む地元漁民などの反対運動によって、遅れつつある。
さらに地上発射式迎撃ミサイル・イージスアショアを、陸上自衛隊むつみ演習場(山口県萩市)と新屋演習場(秋田市)に配備せんとし、米軍のグアム基地などを守るために、韓国へのTHAADミサイル配備と連動したミサイル防衛システムに日本を縛りつけようとしている。そして、南西諸島の石垣・宮古島などに、中国軍を標的とした対艦対空ミサイル部隊の配備を推進し、沖縄を戦場化する対中国戦争政策をとっている。
 基地の強化・軍事増強と並行して、安倍政権は、部隊の海兵隊仕様への転換を含め、海外での武力行使を可能とするため自衛隊の再編を進めている。水陸両用機動団(海兵隊)を佐世保市の相浦駐屯地に設置し、沖縄にも配備する計画が進行している。そして防衛費も安倍政権の6年間で増え続け、軍備の増強がなされた。2019年度防衛費の過去最大の更新は、確実である。
 10月30日、韓国大法院は新日鉄住金に朝鮮植民地時代の元徴用工に損害賠償を支払うよう命じる判決を下した。安倍首相は「1965年の日韓請求権協定により完全かつ最終的に解決している」と批判し、マスコミも同様な論調を展開し、韓国バッシングを行なっている。しかし、日韓請求権協定は個人の賠償請求権を放棄したものではない。判決は個人の被害を救済する国際的な司法判断に沿ったものである。日本政府は、植民地支配の責任を果たし、戦時性奴隷(従軍慰安婦)問題を含め誠意をもって解決すべきである。
 8月12日、安倍首相は、自衛隊の明記などを盛り込んだ自民党の憲法改正案について、今秋の臨時国会か、2019年の通常国会に提出をめざす考えを示した。首相は、2019年中の国民投票も視野に改憲を急ぐ姿勢を強めている。9条1項・2項を残したまま自衛隊を明記する改憲案は、戦争法によって集団的自衛権行使・海外武力行使ができるようになった自衛隊を憲法上追認させ、海外での本格的な武力行使を可能にする。
 10月24日、臨時国会が開催された。安倍政権は、2019年10月に予定された消費増税に伴う負担軽減策で公明党を懐柔し、今臨時国会で改憲発議を強行しようとしている。10月2日、安倍首相は、臨時国会に自民党改憲案の提出を目指す考えを強調、党の最高意思決定機関である総務会の仕切り役に側近の加藤勝信・前厚生労働相を選出した。そして、憲法改正推進本部トップに首相の信頼が厚い下村元文科相を就任させ(野党への挑発暴言でその後降格)、選挙対策委員長に甘利明元経済再生相を据えて、国民投票の責任を担わせようとしている。いずれも日本会議で、安倍首相は、10月2日第4次改造内閣によって改憲への布陣を整え、強行突破を図ろうとしている。しかし、改造直後の世論調査では、改憲案を次の国会に提出するよう取りまとめを加速すべきとの意向に、反対48・7%、賛成は36・4%(共同通信)の結果を示した。
 また、改憲発議のかぎを握る公明党も性急な改憲には依然慎重な姿勢を示し、公明党の取り込みが情勢を左右する。
 改憲をはじめ安倍政治は行き詰まりをみせている。改憲阻止闘争は、最大の山場を迎えている。大衆闘争の拡大によって、安倍政権を打倒しなければならない。
 沖縄県は、8月31日、米軍普天間飛行場の「移設」先とされた名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回した。
 そして9月30日、翁長知事の死去に伴う県知事選の投開票で、辺野古新基地建設阻止を掲げる玉城デニー候補が、自民、公明などが推薦する佐喜真淳候補に8万票以上の大差をつけて当選。沖縄と日本政府の政治決戦に勝利した。
 これに対し防衛省は、民意を無視して沖縄県の処分に対抗、10月17日に不服審査請求と撤回の効力停止を石井国土交通相に申し立てた。安倍政権は、改正行政不服審査法に反する違法措置をとってまで土砂投入を急ぎ、既成事実化を図って新基地建設を強行しようとしている。それは安倍政権のあせりの表現でもある。県知事選に大敗した安倍政権は、2019年統一地方選、参院選、県知事選転身に伴う衆院沖縄3区補選での危機感を強め、これら選挙から日を置くために、県民の反発を招く対抗措置を一刻も早く実施しようと画策している。
 県知事選勝利によって、辺野古新基地建設阻止の展望が切り拓かれている。来春実施される辺野古埋立の是非を問う沖縄県民投票は、沖縄の民意を全世界に明白に示すこととなる。
 また、配備されたオスプレイは、どんな飛び方をしても、日米地位協定上日本側が運用に関与できない。安全性への懸念が強い機種が、恒常的に首都圏のみならず各地の上空を飛ぶ。事故や騒音にさらされる沖縄の痛みが、首都圏はじめ各地で問題として浮かび上がる。オスプレイをはじめとした軍事基地をめぐる闘いが各地で組織されるだろう。朝鮮半島の平和の流れは、沖縄や横田など軍事基地への闘いが一層強まる情勢をつくり出す。
 朝鮮半島と東アジアの平和の流れに、安倍政権は背を向け、戦争ができる国にするために意図的に朝鮮敵視を煽り、その結果日本は、ひとり蚊帳の外に置かれている。世界でもっとも反動的な安倍政権の対朝鮮政策は、東アジアでも国内的にも困難になりつつある。

 三、労働者・市民の生活と安倍政権との深まる矛盾

 7月31日、日銀は、大規模緩和策の修正に踏み切った。それは物価が思うように上がらず、長期化を余儀なくされた緩和策の副作用を減らすために実施された。
 日銀の修正は、結果的に手直しに過ぎない。従って、2019年10月の消費税率10%の引き上げ等によって、景気が減速しても、利下げの「のりしろ」がないままに対策を講じることになる。
 米金利上昇による新興国の通貨安・インフレ、トルコリラ急落、保護主義の高まり、とくに米中関税戦争の開始を引き金に、世界経済は、来年以降景気後退局面に入るとの観測もある。日銀は、一度も利上げに踏み切れないままに後退局面に入り、経済及び労働者民衆の生活にも深刻な影響を及ぼす可能性がある。物価上昇率2%は、2020年度も達成できない。アベノミクスは、すでに破綻している。
 一方、安倍政権は、2019年10月の消費税率10%への引き上げを、予定通り実施する腹を固めている。
 安倍政権は、公明党の要求を受けて、軽減税率制度の導入を決めた。しかし、10%への増税は、重い負担を労働者民衆に負わせ、生活を圧迫する。
 トランプ政権は、8月、イラン核合意からの離脱にともない対イラン制裁の一部を発動した。経済的圧力を強めるため、11月4日までに割安のイラン産原油の輸入量をゼロにするよう各国に求めた。安倍政権は、米国の要求に応じ、日本の石油元売り各社は輸入を停止して10月から他の中東産原油に切り替えた。代替調達によって灯油やガソリン等石油製品の精製コストが膨らみ、小売価格を押し上げ、暮らしを直撃する恐れがある。
 6月29日、働き方改革一括法が強行採決され、8時間労働制を破壊する高度プロフェッショナル制度など導入阻止の闘いの場は、各職場に移る。
 高プロ導入の要件は、労使委員会の委員5分の4以上の多数決による厳格な決定が求められている。労働組合がある職場であれば、高プロ導入を否決し、導入を許さないことが重要である。
 時間外労働の罰則付き上限規制が法明記となったが、過労死ラインを超える例外規定があり、また上限自体が長時間労働容認である。「8時間働いて生活できる賃金」こそ必要である。長時間労働は、自由な個人の生活時間や家事・育児等の家庭生活を営む家族の生活時間、地域社会の活動等に関わるための生活時間を奪っている。一日単位の生活時間を確保する観点が必要である。時間外労働や休日労働に関する労使協定(三六協定)を結ぶ際も、この観点をもとに断固とした姿勢を貫くことが求められる。働き方改革関連法は、2019年4月から順次実施される。労働者の団結によって悪法を実質的に阻止する必要がある。
 働き方改革法によって生産性を基準に一定の格差賃金を容認する社会制度がつくられた。連合がベースアップ要求の基準を示すことをやめたことにより、賃金闘争は個別企業内の問題になり、妥結結果も公表しない傾向になろうとしている。そして、女性、高齢者、外国人を低賃金で活用しようとしている。働く者の人権を保障し、働きやすい社会生活基盤の整備が必要であるにも拘わらず、そのような措置はとられていない。外国人技能実習制度は直ちに廃止し、外国人労働者には労働基本権を保障し、社会の一員として暮らすことができる制度・支援体制の整備を図り、多民族多文化共生社会をつくり上げる必要がある。
 安倍政権は、今後、企画業務型裁量労働制の拡大、解雇の金銭解決法の導入をねらって、攻撃を仕掛けてくるのは確実だ。成立を許せば、企業の都合で、いつでも解雇できる。労働者にとって死活問題である。
 さらに、改正労働者派遣法が9月末で施行3年となり、派遣労働者の雇い止め解雇が増えている。これを許さず、直接雇用・無期雇用に変える機会とする必要がある。
 7月3日、安倍政権は、第5次エネルギー基本計画を閣議決定し、2030年度の電源構成に占める原発の比率を20~22%とした。この目標実現のためには、運転60年までの延長と新増設が必要になる。安倍政権は、東海第二原発など40年を超える原発の再稼働を進め、棚上げしてきた原発の建設や建て替えに踏み込む構えを見せている。
 7月、日米原子力協定が30年の満期を迎えるにあたり、米国などから具体的なプルトニウムの削減案を示すよう求められた。これを背景に原子力委員会は、プルトニウム保有量に上限を設け、約47トンから削減する方向にかじを切った。日本原燃の計画では、3年後に六ケ所再処理工場が完成する。その稼働をコントロールし、プルサーマル発電に必要なだけ再処理する方針を決めている。
 しかし、原子力は人類の手で制御できる代物ではない。まして、40年を超える原発の稼働やプルサーマル発電の拡大は、原発事故による大惨事を引き起こす。
 安倍政権による政策の推進は、企業を潤し、一方で労働者民衆に大きな負担を強制して、生活や生命さえ脅かしている。とりわけ労働政策では、非正規・正規労働者の労働条件を一層悪化させ、生活不安を拡大・合法的に過労死にまで追い込んでいる。
 それでも、非正規・正規労働者の闘いは高揚してはいない。「雇い止め」によっても、これまで多くの非正規労働者が職を奪われ、一部が労働組合などでの闘いを通して、雇用を勝ち取っている。ユニオン等に結集して、最賃闘争などを意識的に闘う非正規労働者は、現状では多くない。安倍政権による最賃引き上げに期待する傾向さえ見られ、安倍政権打倒に立ち上がる非正規労働者は、少ないのが現状である。正規労働者の闘いも低迷している。改憲阻止などの政治闘争には官公労中心に結集しているが多くはない。
 ユニオン等の闘争を強めて非正規労働者を組織し、経済闘争・政治闘争を通じて闘争意欲を共に高め合うことが求められている。また、自治労など組織された労働者が、非正規労働者の闘争を支援し、非正規労働者の組織化に全力を上げることが大切であろう。
 安倍政権は、労働者の不満や怒り、生活不安を、差別を煽って排外主義の側に取り込み、政権を維持し浮揚させようと画策してきた。
 また、教育やスポーツ指導者を通じて体制の意に沿おうとする子どもを長い年月をかけて育成してきた。その教育のあり方も政権維持に大きく影響している。
 日大アメフト事件は、身体的・精神的ないじめ、みせしめに近い指導を加え、期待に沿う行動を強制してコントロールする指導を原因に引き起こされた。
 しかし、これら長期の自民党政治とこのかんの安倍政治による、人権無視・反民主主義、ナショナリズムの鼓吹、ファシスト的「改革」などの政治は、現代の地球市民の時代が求める価値観に立ち遅れ、逆行する政治であって、若い世代との衝突が拡大してくることは不可避である。安倍政権の支配の根本を突き崩し、非正規・正規労働者、市民の決起を実現しよう。

 四、第3期安倍政権の終らせ方

 第7回党大会は、安倍政権は「アメリカと共に戦争を遂行する国内体制・憲法体制を整備すること、また新自由主義をいっそう推進して独占資本を支援しつつ『天皇代替わり』をテコとしたナショナリズム的国民統合支配を強化すること、これらを通じて、国際的に地位低下の日本帝国主義を反動的に立て直そうとする」として安倍政権の内外政策の基調を示した。
 また第7回大会は、任務遂行の五つの重点として、①革命勢力の団結・統合、②左派系共同闘争の拡大と、「第三極」政治勢力の建設、③非正規労働者の闘いをはじめとした労働運動の再建、④市民運動などとの地域的統一戦線、⑤排外主義と闘い、東アジアをはじめとする労働者人民の国際連帯を拡大する、と決定した。
 以上の7大決議に基づき、向こう1年間の課題を念頭に入れて、以下を当面の闘争方針とする。
 
 Ⅰ、非正規・正規労働者・民衆の闘争意欲を高める
 ① 党は、我が党の労働運動政策を支持して活動する仲間を組織し、非正規労働者の運動を推進するカードルをつくり、非正規労働者の組織化を進める。
 ② 党は、自治労、日教組など組織された労働者・組合に働きかけ、非正規労働者の組織化を全力で進める。
 ③ 党は、最賃闘争、労働時間短縮などの闘いを組織し、非正規労働者を積極的に組織しているコミュニティ・ユニオン全国ネットワーク等の運動を支持・連帯して非正規労働者の組織化を進め、運動を拡大する。
 ④ 党は、職場闘争を組織し、地域労働運動との団結を強めて正規労働者の闘いを活性化させ、失業労働者の自律的運動を発展させて、非正規・正規労働者の闘争を推進し、労働運動相互の連携を強め、さらに市民運動とも連帯して闘い、政治意識の向上につとめる。
 
 Ⅱ、左派系共同闘争および地域共同闘争を推進する
 ① 党は、沖縄県の辺野古埋め立て承認「撤回」を断固支持し、全国の労働者人民と連携して土砂投入・各地からの搬出を阻止し、日本政府に辺野古新基地建設を断念させる。普天間基地の来春までの無条件閉鎖を求める。
 ② 党は、早期の朝鮮戦争「終戦宣言」を求め、南北朝鮮が主導する朝鮮半島平和構築を熱烈に支持し、在日米軍とくに米海兵隊の全面撤退のために闘う。
 ③ 党は、総がかり行動など広範な共同行動を支持しつつ、安倍自民党の9条改憲案国会提出を断固阻止し、改憲発議を最終的に挫折させる。
 ④党は、19年7月参院選では、「9条改憲反対」「戦争法廃止」で一致する野党・市民共同候補を支持・支援する。遅くとも7月参院選で、安倍を終らせる。その前に、全国民的対決点を明瞭化して、大衆闘争で安倍を打倒することを全力で追求し、その地平を参院選に反映させるという方針をとる。
 ⑤党は、東海第二原発の再稼動阻止・廃炉をかちとり、脱原発の国民多数派と共に、全原発の廃止へ向かっていく。
 ⑥党は、5・1天皇即位式典など天皇制強化に断固反対し、天皇制廃止あるいは主権在民擁護を掲げる5・1メーデーを推進する。20年東京五輪へ向けた、あらゆる天皇制ナショナリズム国民統合策に反対する。
 ⑦党は、企業内部留保などへの課税を求めつつ、来秋消費税10%化に断固反対する。
 ⑧党は、上記などの課題を通じて、「反戦実行委」など左派系共同闘争の拡大・発展を図る。また、各地方状況に応じた地域共同闘争の拡大・発展を進め、安倍政権を大衆闘争で早期に終らせるために闘う。
 
 Ⅲ、「第三極」の実現
 ① 党は、安倍政権打倒の共同闘争を通じて、「第三極」政治勢力形成につとめる。
 ② 党は、「第三極」実現の推進軸、革命的左翼の団結・統合にむけて、取り組みを進める。
 以上の闘いを通じて、労働者民衆の大闘争で安倍長期政権を打倒する。(以上)